フィンランドの8月を満喫する6つのローカル体験

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ヘルシンキで開かれるFlow Festivalの様子

クレジット: Jussi Hellstén

夏の終わりを彩るフェスティバルから、シーズン最初のオーロラまで

フィンランドの8月は、ミッドサマーの熱気が落ち着き、やわらかな金色の光に包まれる季節です。夜が戻り始め、森は実り豊かに、街は晩夏のリズムに軽やかに揺れます。ゆったりと時間を過ごし、フィンランドの“夏の終章”に浸るには絶好のタイミングです。森での収穫、フィンランドのガラス文化の探訪、Flow Festivalでの音楽体験、そして運がよければシーズン初のオーロラ観測まで、8月を現地の人のように楽しむ6つの方法をご紹介します。

クレジット: Julia Kivelä

夜が戻るひとときに、星空とオーロラを楽しむ

終わりのない白夜が続いた夏を経て、8月のフィンランドには再び“夜”が訪れます。少し遅くまで起きて、伝統的なサウナやスモークサウナで温まりながら、湖のほとりに現れる星空を眺めてみましょう。光害の少ないKoli、Nuuksio、Pallas-Yllästunturi National Parkなどでは、晴れた夜に天の川まで見えることも。運が良ければ、シーズン初のオーロラ(北極光)を目にするチャンスも。フィンランド北部では、8月下旬から翌年4月頃までがオーロラの観測シーズンです。

クレジット: Visit Levi

ザリガニパーティーで夏の味覚を満喫

8月はザリガニの旬。フィンランドでは、この時期にrapujuhlatと呼ばれる季節の宴が各地で開かれます。キャンドルの明かりの下、紙帽子をかぶり、陽気な歌を歌いながら味わうザリガニ料理は、この季節ならではの風物詩です。これらのパーティーは主に家庭やサマーハウスで行われますが、HelsinkiTurkuなどの沿岸都市では、レストランで気軽に体験できるイベントやメニューもあります。香り豊かなディルで茹でたフィンランド産ザリガニを、トーストやシュナップスとともに味わい、ぜひ伝統的な飲み歌にも参加してみてください。

クレジット: Emilia Hoisko

晩夏のリズムを感じるフェスティバルへ

クレジット: Jussi Hellstén

8月は、フィンランドの夏のフェスティバルシーズンのフィナーレを飾る時期。7月は素朴な民俗イベントや田舎の魅力が中心ですが、8月は都市文化、グローバルな音楽、夜空の下での体験が主役となります。

その代表格が Flow Festival。Helsinki の旧発電所跡地を舞台に、最先端の音楽、アート、デザイン、サステナビリティを融合させた、北欧随一のスタイリッシュなフェスです。インディーロックからエレクトロ、ジャズ、ヒップホップ、前衛パフォーマンスまで、ジャンルを超えたアーティストが集結。受賞歴のあるグルメやビジュアル演出も魅力で、「夜更かしが心地よい都市」の空気を体感できます。

そのほかの注目イベントは?
Helsinki Festival(Helsingin juhlaviikot)は、演劇、ダンス、音楽、ビジュアルアートなどが集うフィンランド最大の総合芸術イベントです。Night of the Arts(Taiteiden yö)の日には、街全体が屋外ステージへと姿を変えます。
Turku Music Festivalでは、教会やマナーハウス、川沿いの会場を舞台に、国内外の一流クラシック音楽が響き渡ります。
さらに北部の Inari では、サーミ文化と音楽に特化した唯一のフェスティバル Ijahis Idja(「Nightless Night」)が開催され、フィンランド先住民族の物語と伝統にふれる貴重な機会となります。

Credits: Ville Fofonoff

フィンランド流に森の恵みを味わう

8月は、野生のベリーとキノコが最も豊富な季節。ローカルガイドと一緒に森へ出かけたり、サイン付きのトレイルをバケツ片手に歩いたり。ブルーベリーやリンゴンベリー、アンズタケやポルチーニ茸など、見つけやすく、誰でも自由に採取できるのは、Everyman’s Right(自然享受権)のおかげです。

また、ミッケリの Tertti Manor のように、地元食材を主役にした森のテイスティングメニューを提供するレストランもおすすめです。

クレジット: Harri Tarvainen/North Karelia

フィンランドのガラス文化をたどる旅へ

100年以上にわたり、フィンランドの職人やデザイナーは、溶けたガラスから日常を彩る美を生み出してきました。素朴な保存瓶からモダンデザインの傑作まで、その技と美意識は世界に知られています。8月は、夏の混雑がひと段落し、静かにその遺産に触れられる絶好のタイミングです。

1793年創設の Nuutajärvi 村は、フィンランド最古のガラス工芸の地。のどかな田園に囲まれたこの村には、工房やギャラリーが点在し、ガラスの吹き・成形・カットの伝統技術を間近に見ることができます。

また、Riihimäki には、Finnish Glass Museum があり、ガラスの歴史を中世の実用品から黄金時代のデザインまで体系的に展示。Alvar Aalto、Kaj Franck、Oiva Toikka など、フィンランドを代表するデザイナーの作品も見られます。
さらに旅を広げるなら、世界的ブランドの本拠地 Iittala のガラス工房やアウトレットも見逃せません。

クレジット : Miki Watanabe

Liminka Bayで渡り鳥を観察する

夏の終わりとともに、鳥たちの旅も始まります。Liminka Bay は、Oulu の南に位置するヨーロッパ屈指の渡り鳥観察スポットで、大陸内でも重要な湿地のひとつです。
モダンなネイチャーセンターから観察を始め、日の出や夕暮れ時には、観察小屋や湿地帯で数千羽ものガンやシギの群れが飛び立つ様子が見られます。Liminka Bay には、約160種もの鳥類が営巣しているとされています。

クレジット: Eeva Mäkinen

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